生理痛や月経前症候群(PMS)で調子が悪い……。
何もせずに寝ていたい……。
婦人科系のトラブルに悩まされる女性は少なくありません。
「病気じゃないし、忙しいから」と、体が発するサインをスルーしてはいけません!
いつものことと思っている痛みやだるさの影に、思わぬ病気が潜んでいるかもしれないのですから。
ということで、今回のテーマは気になってはいても、後回しにしてしまいがちな婦人科検診と女性ならではの病気について、リサーチしてみましたよ。
まずはセルフチェックから
写真はイメージです
みなさんはご存知でしたか?ひと昔前、子どもをたくさん出産していた時代の女性は、妊娠・授乳を繰り返し、無月経期間が長かったことから、生涯に経験する月経の回数が50回ほどだったそうです。
ところが今は、ライフスタイルの変化に伴って出産機会が減り、人によって差はあるものの、かつての10倍(約450~500回)もの月経を経験すると言われています。
月経の回数が増えたということは、それだけ月経痛や月経前症候群(PMS)、片頭痛などの症状に悩まされる機会が増えたということ。
つまり、女性特有の病気が引き起こされるケースが増えているということなのです。
「よくあることだから……」と我慢して、まわりも過剰な心配をせずに済ませてしまっていた月経痛や月経前症候群(PMS)。
もしかするとそこに、子宮がんなどの病気が隠れているかもしれません。
吹出物が増えたとか、唇がカサカサとか、見た目にわかるトラブルと違って、体のなかでおきていることは気づきにくいものです。
なかでも婦人科系の病気は自覚症状が現れにくく、知らぬ間に病状が進行してしまうことが少なくないと言われています。
ちょっとした違和感が、何かのサインだったりもするので、気になることがある人は迷わず医療機関に相談しましょう。
その前段階として病気別にセルフチェックできるサイトを見つけたので、ここでいろいろチェックしてみてもいいかもしれません。
これって病気かな?女性の病気セルフチェック | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
セルフチェックで気になる症状を見つけた方は医療機関に行っていただきたいのですが、とくに何もなかったという方も、病気の早期発見・早期治療につながる検診は受けておきたいところ。
「けんしん」といえば職場や自治体で健康診断を実施していると思いますが、婦人科検診のひとつである子宮がん検診や乳がん検診については、その内容に含まれていない場合もあるので確認が必要です。
お勤めの方は勤務先の担当課に確認してみましょう。
お勤めしていない場合は、お住まいの自治体で健康診断を行っていて婦人科検診についても費用の補助を行っています。
補助の内容は自治体によって異なるので、お住まいの地域のお役所に確認してみましょう。
ちなみに編集担当が住む地域では、子宮頸がんの頸部のみ500円・頸部・体部700円、乳がん40代700円、50代以上600円の負担額で受診できます。
検診日と申込期間が決まっているので、広報などのお知らせをこまめにチェックして、忘れずに申し込みをしなければ!と思っています。
受けておきたい検診アレコレ
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自治体や職場で行われる「特定健康診査」と呼ばれる健康診断では、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常)の早期発見や重症化の予防を目的に、身体計測や血圧測定、血液検査、尿検査などが行われます。
生活習慣病ももちろん気になるところではありますが、自治体や職場ではあまり行われないけれど、女性が受けておきたい検診として専門家が挙げているのが甲状腺や膠原病など自己免疫疾患の検査。
女性の体調不良や月経不順、メンタル面にも影響し、妊娠の障害にもなるということで、費用負担はあるものの受けておきたい検診といわれています。
また、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣のう腫、卵巣がんや子宮体がんなど女性特有の疾患については、定期的に超音波検査を受けることで早期発見ができるのはもちろん、体調不良や妊娠トラブルの予防にもつながります。
出産経験のない方は少し抵抗があるかもしれませんが、一度、産婦人科を受診してみてもよいのではないでしょうか。
女性が受けておくといい検査をまとめておきます。
- 子宮頸がん検査:子宮の入口にあたる子宮頚部の粘膜細胞を綿棒のようなもので採取し、がんの危険性を調べます。時間もかからず、痛みもほとんど感じないといわれています。
- 子宮体がん検査:子宮内部に専用の検査器具を挿入し行います。子宮の奥にある細胞を採取するため、子宮頸がん検査よりも痛みを感じるとされています。
- 経腟超音波検査:プローブと呼ばれる専用検査器具を挿入し、子宮や卵巣の病気を調べる検査です。子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症などの病気がわかることもあります。
- 乳がん検査:マンモグラフィーと呼ばれる乳房専用のレントゲンを使用して行う検査と超音波(エコー)検査があります。
マンモグラフィーは石灰化と呼ばれるカルシウム沈着の発見に適していて、しこりを作らない早期の乳がん発見に役立っています。
一方のエコー検査は小さな腫瘤を見つけやすく、しこりの良性・悪性の診断が可能。それぞれ異なるメリットがあるので、併用して受けるのが理想的でしょう。
どちらか一方を受けるときは、40歳未満はエコー、40歳以上はマンモグラフィーといわれています。 - 甲状腺検査、膠原病検査:甲状腺による病気の一種であるバセドウ病は早産や妊娠中毒症を引き起こすとも言われています。
一方の膠原病は甲状腺とともに女性に多い自己免疫疾患で、妊娠・出産、更年期など大きなストレスがかかったときに発病しやすいといわれています。
どちらも血液検査ですが、企業や自治体の検査項目には入っていません。
女性のための検診は何歳から受けるといいの?
写真はイメージです(Photo by Daniel Thomas on Unsplash)
さまざまある婦人科系検診ですが、実際に何歳から受診したらよいのか気になるところです。
子宮頸がんの発症は30代後半がピークといわれていますが、近年は20代から30代前半の若い世代でも増えつつあります。
一方で子宮体がんは、閉経前後の40代後半から増えて、50代から60代でピークを迎えます。
また、甲状腺機能が異常を起こすバセドウ病は20代~30代に起こるケースが多く、30代は子宮内膜症や子宮筋腫にかかる可能性が高まり、40代は乳がん、50代は更年期障害や関節リウマチと、どの年代においても病気にかかるリスクはあり、決して「若いから大丈夫」「閉経したから大丈夫」とは言えないということです。
国が推奨している女性特有のがん検診は、20歳以上の女性に2年に1回「子宮頸がん検診」、40歳以上の女性に2年に1回「乳がん検診」とされていて、少ない負担で受診できるので、こういう機会を利用するのもおすすめです。
成人を機に検査を受けるというのもアリですし、就職や結婚のタイミングで受けるのもよいですね。
結婚のタイミングでは「ブライダルチェック」を受ける人がいるようですが、結婚するしないに関わらず、妊娠・出産を希望するなら一度受けておくといいとされています。
検査では妊娠出産に影響を及ぼす疾患や感染症がないかを調べるほか、健康状態も把握できます。
具体的には子宮頸がん検査や子宮卵巣の超音波検査、性感染症検査、風疹やB型肝炎、甲状腺、貧血に関わる血液検査など、クリニックによって含まれる検査項目や費用は異なるので、お住まいのエリアの医療機関を検索してみましょう。
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健康のためにも婦人科検診は受けたほうがよいのはわかるけれど、不安を感じて二の足を踏んでしまう方もいると思います。
出産を経験した女性でも内診台には抵抗を感じる方も多いと聞きます。
そうした女性の気持ちに配慮して、医師も技師も女性だけという医療機関も少しずつですが増えています。
ほかにも、キッズルームやパウダールームを完備していたり、働く女性が受診しやすい日時設定を設けるなど、環境整備は進められているみたいなので、気になる人は情報収集からはじめてみてもよいかもしれません。